羽毛布団の知識・選び方
羽毛布団は中わたに水鳥の羽毛(羽根)を使用した布団で、軽く、吸湿性・放熱性に優れています。現在では一般的になり、軽くて暖かい布団として普及していますが、価格の幅が広く同じ値段でも品質はさまざまです。羽毛布団を選ぶ際には、失敗しないために価格と品質の見極めが重要で、羽毛布団の知識が必要です。
より快適な羽毛布団を選ぶために。
羽毛布団は種類が多くあり、長く快適に使用できる羽毛布団を選ぶためのポイントをご紹介しています。
羽毛布団を選ぶためのポイント
羽毛布団は品質基準が徹底されていなかったため、優劣さまざまな質の布団がでまわっています。羽毛布団の良し悪しを確認するポイントをご紹介しています。
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羽毛布団の品質について
羽毛布団の品質を確認する基準として、ダウンとフェザーの混率、羽毛の量、品質表示ラベル、側生地の材質、縫製などがあります。
羽毛の素材・品質について
羽毛布団には、水鳥のグース(ガチョウ)とダック(アヒル)の羽毛が使用されます。羽毛は、形状からダウンとフェザーに大別され、ダウンはタンポポ状の羽毛で、空気を多く含み、フェザーは一般的に羽根と呼ばれる部分で芯があります。
ダウン

鳥の胸毛にあたり、タンポポの種子のような放射状の綿毛のような形状です。ダウンボールと呼ばれます。
空気のように軽く、柔らかく、保温性に優れます。
空気を含んでかさ高性にも優れ透湿性をも持っています。
ただ、一羽の水鳥から採取出来るダウンの量はフェザーに比べるとごく少量です。
フェザー

羽根と呼んでいるものです。木の葉っぱのような形です。
真中に1本の芯(羽軸)があり、その両側に柔らかい羽の枝があり、更にその左右に小さな羽がついています。
いわば、鳥の上着にあたるものです。また、フェザーの中でも長さが6.5cm以下のものをスモールフェザーと言います。
羽毛布団のダウン率について
羽毛布団のダウン率とは中わたである羽毛のダウンの占める割合のことで、ダウン率93%と表示してあれば、約93%のダウンと7%のフェザーが入っていることになります。
「羽毛ふとん」とは詰め物にダウンを50%以上使用しているふとんのことで、50%以下のものは 「羽根ふとん」とと言い区別されています。
同じダウン率の羽毛布団でも、水鳥の産地、飼育期間、品種等により品質(特にカサ高)に大きな差がでます。
羽毛布団のカサ高について
羽毛布団のカサ高とは布団の厚みではなくJIS(日本工業規格)で決められた羽毛のかさ高性試験の値です。気温20度、湿度65%で内径29cm、高さ50cmの筒状の測定器の中に30gの羽毛を自然落下させ、120gのおもりを2分間のせます。おもりを取り除き復元した状態で、3箇所の部分から高さをmm単位で測り、その平均の値の高さをカサ高と言います。
羽毛布団の品質表示ラベルについて
羽毛布団の品質表示ラベルは法律で定められた法定品質表示ラベルと日本羽毛寝具製品協同組合や全日本寝具寝装品協会が発行する品質管理基準のラベルがります。
品質表示のラベルは、選定の目安であって絶対的な基準ではありません。 同じラベルでもメーカーによってかなり品質に違いがあるようです。
羽毛布団の品質表示ラベル
羽毛布団には必ず次のような品質表示項目のラベルがついています。(2、3、7は法定表示、他は自主表示です。)
表示例

- ふとんの名称
- ふとんの側地の組成繊維および混用率
- 詰めものの組成混合率(ダウンとフェザーの比率)
- 詰めものの重量
- サイズ
- 取り扱い方法(使い方と注意、干し方、収納と保管方法および洗い方)
- 表示者の氏名、または名称および住所、あるいは電話番号
- 詰めものの見本袋(添付)
日本羽毛寝具製品協同組合の品質表示ラベル。
消費者の選択の目安になるように、「かさ高」の違いにより、4つのラベルで区別しています。
※カサ高は測定器の数値で羽毛布団の厚さではありません。また、それぞれのラベルの中でも、中身の羽毛の品質、側生地等によりランクがあります。
プレミアムゴールドラベル | ロイヤルゴールドラベル |
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羽毛品質 ★★★★★★ 羽毛のカサ高180mm以上 |
羽毛品質 ★★★★★ 羽毛のカサ高165mm以上 |
エクセルゴールドラベル | ニューゴールドラベル |
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羽毛品質 ★★★★ 羽毛のカサ高145mm以上 |
羽毛品質 ★★★ 羽毛のカサ高120mm以上 |
全日本寝具寝装品協会の品質表示ラベル。
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G・Fマークは全日本寝具寝装品協会のチェックを受けたふとんの名称・素材・取扱い方法等、統一表示基準に適合した商品につけられるマークです。 このラベルは羽毛ふとんだけではなく、基準に適合した羊毛敷きふとんやこたつふとんなどにも取り付けられています。 |
羽毛布団の側生地について
羽毛ふとんの側生地には、羽毛の吹き出しを防ぐために、細番手の糸をタテ、ヨコとも高密度に織り込み、さらに「羽毛吹き出し防止加工(ダウンプルーフ加工)」を施した生地が使用されています。その生地を傷や汚れがないか検反(反物の検査)し、裁断、キルト仕立てに縫製、外周を縫って袋状にします。この中に羽毛が充てんされます。
羽毛布団の側生地素材について
羽毛布団の側生地には、綿、合繊、シルク、超長綿等の材質があり、糸の織り方により平織り、ツイル、サテン生地等があり、さらに生地の柔らかさや肌触り等を左右する打ち込み本数があります。羽毛布団の中わたであるダウンが良くても布団になった時には、その側生地によっても品質が変わります。 側生地には通気性、吸湿性、柔らかさ、軽さなどが求められます。
ブロード(平織り)

最も簡単な織り方で、たて糸とよこ糸が互いに上下に組合わさって組織されたものでブロードとも呼ばれます。ツイルやサテンに比べると硬くしわになりやすいですが、摩擦に強く、丈夫な織りです。コストが安く比較的安価な羽毛布団に使用されています。シャツなどの生地に使用されています。
ツイル(綾織り)

2本以上のよこ糸の上に、たて糸が浮いてあらわれるか下に沈むかして、織物の表面に斜めに畝線(うねせん)を表します。斜文織り(しゃもんおり)ともいいます。 光沢のある、柔らかい、しわになりにくい織りです。ジーパンなどのデニム生地もこの織り方で織られています。
サテン(朱子織り)

たて糸かよこ糸のうち一方の糸を布の一面に長く浮かせ、たて糸、よこ糸の交わる点をできるだけ離して配置した組織の織物です。摩擦には弱いですが、手触りがよく、光沢があり、高品質な羽毛布団に使用されています。ドレスなどで使われるサテン生地は朱子織りの代表です。
打ち込み本数とは
ふとんの側生地の柔らかさ、軽さ、通気性の良さ、肌触り、しなやかさを決めるのが「打ち込み本数」です。通常打ち込み本数とは生地1インチ(約2.5cm)四方の中に織り込まれている、縦糸と横糸の合計本数で表します。打ち込み本数が多いということは、それだけ細い糸を使用しているということです。打ち込み本数が多ければ多いほど、高い技術で細い糸を緻密に織り込んでいるので、生地の密度が高くなり、柔らかく、肌触りのよい、しなやかさを持つ高級生地となります。1本1本の糸が細く、縫い目も密でしっかり詰まっているので、肌触りがとても柔らかい生地です。その上、とても軽くて非常に耐久性に富んでいます。
以下に代表的な羽毛布団の生地をご紹介します。
230本平織り綿
打ち込み(1インチにおける糸の本数)230本のもので、羽毛布団としては必要最低限の打ち込み本数です。手触りはあまり良くありません。手で生地をつかんだときに音がします。コスト的には一番安価で、低価格の羽毛布団などにこの生地を使用しています。シャツの生地などによく使われる織り方です。
木綿糸で平織りした薄手の生地で、ソフトな肌触りが特徴です。最もシンプルな羽毛ふとん用の生地で比較的安い値段で販売されています。
40/50ツイル超長綿
綾織り(あやおり)という織り方で斜めの方向に細い線がでます。厚い生地を織ることが可能で、ズボンやスーツに多く使用されていすが平織りより柔らかです。
縦糸に50番手糸・横糸に40番手糸を使用し、ツイル織(綾織り)りしたものです。がさつき感も無く、フィット感も特に問題はないと思います。コスト的にも中の下といったところ。丈夫で耐久性に優れていて、デニム・ジーンズ等もこの織り方で作られています。
60サテン超長綿
朱子織り(しゅすおり)という織り方で美しい光沢がでやすい織り方です。
打ち込み本数363本のもので、60番手糸を使用しサテン織り(朱子織り)した非常に高密度な生地で高級羽毛布団の定番クラスになっております。触り心地は非常に良く、「滑らか・ソフト」な感じで肌にもフィットいたしますので隙間風が入りにくいというメリットもございます。コスト的にはこの中では一番高いですが、風合い・肌触りにこだわり、高品質なものをお探しの方にはおすすめです。ドレスや高級服の裏地ははよくこの織り方で作られています。
80サテン 超長綿
打ち込み本数415本のもので、よりすぐられた原綿のみを使用し、光沢としなやかさに優れ、羽毛布団にぴったりの生地です。サテン織り(朱子織り)といって、非常に光沢が出て高級感があり、肌触りも最高な生地です。60番手よりもさらに極細の80番手糸を使用して織り上げた非常に高密度な生地で、60サテン超長綿よりも、より高級とされています。
さらに細い超長綿を使用した100サテン長超綿もあります。
羽毛布団の側生地縫製(キルト)構造について
羽毛掛ふとんは、基本的には、表生地と裏生地とに高さのある「マチ」を縫込み、羽毛の入る立体小部屋を作り、その小部屋の中に羽毛を吹き込んで作ります。この立体小部屋を作ることで、布団全体に羽毛が均等にいき渡り、全体の保温効果を高めます。
平面キルト

表と裏の生地を直接縫い合わせた一般的なキルティング。初期の羽毛布団に多く、空気を蓄えづらいので適したキルティングとは言えません。
立体キルト

表生地と裏生地との間にタテにマチを作ることで高さ(厚み)を確保し、羽毛が全面に行き渡るようにして均一性を保ち、熱が逃げるのを防ぎます。 羽毛掛布団のキルト方法としては、最もポピュラーな縫製方法で、保温性があります。
ツインキルト(2層式立体キルト)

上下のキルティングを変えて2枚合わせの二層構造にしたキルト方法です。上下のキルトの位置をずらすことで、羽毛の片寄りを防ぎます。立体キルトに比べると2層になっているうえ、マチ部分を上層と下層とでずらしてある分、ボリューム感があります。
布団クリーニングご利用案内
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